「千和っ」

ずっと何も言わず聞いていた柊真が私に手を伸ばした。

「千和、よくがんばったね」

腕を回してぎゅぅっと抱きしめる。

いつも長袖の柊真の腕は華奢で脆さを感じたけど、優しくて温かかった。

「つらかったよね、きつかったよね、かなしかったよね…千和いっぱいがんばったね」

ぎゅーっと抱きしめて、耳元で何度も言ってくれる。

がんばったね、がんばったねって。

どんどん前が見えなくなる、瞳にいっぱい溜まった涙のせいで。

頬を伝って流れる涙は柊真の肩に落ちた。

その瞬間我慢していたものがパンッと弾けたように、わーんと声を出して泣いた。


どうして私はここにいるんだろう。


私はどこに行けばいいんだろう。



どうしたら私はもう一度私になれるの?



もう何も見えないよ。


毎日何も目に映らないよ。


「千和、オレは千和と会えてよかった」


こんな私でも誰かのためになれるなら、それでもいい。

少しでも私が生きる意味が生まれる。

「千和がいるから、オレは…」

柊真がそう言ってくれるのなら。