膝を立ててその上に顔を伏せた。

涙がこぼれて来てしまうから。

「…好きな人にさよならされたお母さんはよく怒るようになってパートも行けなくなったし、怒ったお父さんは私を置いて出て行っちゃうし、もうぐちゃぐちゃで…だからここへ来たの、もうそこでは暮らせなかったから」

私があんなことをしちゃったから、いとも簡単に広まってしまった。

「ここね、お母さんの実家なの。おばあちゃん家にいるんだけどね…おばあちゃんはお母さんも私のことも許せなくて、恥ずかしいって思ってて…」

噂はどこでも簡単に広がるんだと思う。

そうだよね、急に娘が子供連れて帰って来たなんてなったら何があったんだろうって思うしここは前住んでたところよりも田舎で伝わるのは一瞬だった。

顔を上げて涙を拭いた。

ポロポロと止まらない涙を拭くのは取り留めのない作業みたい。

「学校の人たちもみんな知ってるし、前の学校の子たちも知ってるの…気持ち悪いとか、クズの子だとか、あんな家の子と遊ばない方がいいって…」

だからスマホの電源を切った。
送られてくるLINEは全部私を傷付けたから。

「もう誰もいないの、私を見てくれる人は」

全部全部なくなっちゃった。

落ちていくように壊れていった。

もうどうしたらいいかわからないよ。


だからもう私も何もいらないよ。


全部ここで終わりにしたい。


消えてなくなりたい。



「死にたいの」



つーっと涙が頬を伝う。


初めて言葉にした。

でも不思議、全然怖くなくてむしろスッキリしてる。

「お母さんね、私がいなかったらまだ彼氏といられたんだってだからいない方がいいんだって。…もう友達もいないし」

またあの頃と変わらないLINEが来るんじゃないかって少しだけ待ってた、でもそんなことはなくて電源をつけても全く鳴らないスマホが虚しかった。

「私はどこにてもそうなの、いらないんだよ私」

私が1番思ってる、こんな私いなくなっちゃえばいいのに。

あぁまた涙が出て来る、まだ泣けるんだいい加減涙も諦めたらいいのに…っ