金曜日の夜。


「はぁ……どうしよう」


私は、自宅の部屋のベッドに座ってため息をつく。


明日は、千葉くんたちのサッカーの練習試合が行われる日なのだけど。


千葉くんに好きな子がいると知って、二度目の失恋をしたも同然の私は、明日試合の応援に行くかどうか迷っていた。


あれから私は、千葉くんと話すのが気まずく感じてしまって。

学校で、千葉くんのことを避けてしまっている。


『橘、なんで俺のこと避けてんの?』


避けだして2日が経つ頃、ついに千葉くんに聞かれてしまった。


『……ちょっと喉が痛くて、風邪気味だから。練習試合の前に、もし移したら悪いと思って』と言ったら。


この日は本当にのどが痛くて、私がマスクをしていたこともあってか、千葉くんは『大丈夫? 無理すんなよ』って言ってくれて。


心配そうな顔で千葉くんは、私にのど飴をくれたんだ。


「ほんと、優しいよ千葉くん……」


私の手には今、彼からもらったのど飴がある。


〜♪


のど飴をしばらく見つめていると、私のスマホが鳴った。


画面を見ると、メッセージが届いたようで。


その名前を見た瞬間、私の胸が小さく跳ねた。


送り主が、千葉くんだったから。