「ええっと」


聞いてた? って。どうして千葉くんは、私にそんなこと聞くんだろう。


「わ、私は……別に何も? 今、ここを通りかかったところだから」


千葉くんに聞かれて、私の口からとっさに出たのはそんな言葉。


「そっか。それなら、良いんだけど」


いま千葉くんの顔が、どこかホッとしたように見えたのは気のせい?


「……はい」


それから千葉くんは、私が先ほど落としたペットボトルを拾ってくれた。


「あっ、ありがとう」


さっきあの話を聞いた直後だからか、千葉くんの顔ちゃんと見れないや。


「どうした? 橘、なんか元気なくない?」

「……っ」

「もしかして、またお腹でも痛い?」


千葉くんに私は、首をふるふると横にふる。


「それじゃあ、なにか悩みごとでもあるの?」


千葉くんが、心配そうな顔で私の顔を覗きこんでくる。