少女マンガや学園ドラマを観ていて、好きな人とのお弁当のおかずの交換ってちょっと憧れてたんだよね。


私は、千葉くんからもらった玉子焼きを箸で挟んでしばらく見つめる。


これが、千葉くんのお母さん手作りの玉子焼きかあ。美味しそう。


「いただきます」


そして、玉子焼きをパクッとひとくち。


「んーっ、美味しい」


出汁が効いていて、とっても優しい味がする。


千葉くんがいつも食べているものをこうして自分も味わえるなんて、なんだか嬉しい。


「うわ、橘。この唐揚げ、めっちゃ美味いよ」


千葉くんがもぐもぐしながら、こちらに笑いかけてくれる。


「バレンタインのときに、橘からもらったチョコも美味かったけど。こっちも最高!」


目の前で好きな人に自分が作ったものを食べてもらうのは初めてで、ちょっとドキドキしたけど。


美味しいって言ってもらえて、一安心。