「おーい。お前ら、席に着けよー」
香菜たちとしばらく話していると、新しい担任らしき眼鏡の男性が教室に入ってきた。
それと同時にみんな自分の席へと戻り、騒がしかった教室は波が引くように静かになっていく。
そんな中、私は後ろからポンポンと肩を叩かれた。
振り向くと、後ろにいるのはもちろん千葉くんで。
「俺、まだ橘にちゃんと言ってなかったなと思って」
……何だろう?
「あのさ……」
自分の口元に手を当てて、小声で話し始める千葉くん。
そのとき千葉くんの顔が私に近づき、ドキリとする。
何? なにを言われるの? 私。