彼は、空から降ってきたボールを再び胸で受け止めると、リフティングを始めた。


彼の足や太もも、胸、頭の上で、サッカーボールが飛び跳ねる。


名前も知らない男の子は、先ほどから一度も地面にボールを落とすことなくコントロールしている。


まるで、サッカーボールが生きているかのような自然な動きで凄い……!


何よりあの子がとても楽しそうで、私は思わず見入ってしまう。


リフティングをしていて揺れる、サラサラの黒髪。


大きな二重の瞳に、すっと通った高い鼻と形の良い唇。顎のラインもシュッとしていて。


背が高くて、スタイルも良くて。


何より彼は、めちゃくちゃかっこいい。


「あっ、ごめんね。ついいつもの癖で、サッカーに夢中になってしまってた」


自分の頭に、こつんと軽く拳を当てる彼。


「サッカー、好きなんですか?」

「ん? ああ。すっげー好き」


そう言って、白い歯を見せて笑う彼の顔は、まるで陽だまりみたいだった。


「それよりキミは? 大丈夫だった? 怪我とかしてない?」