それからも次から次へと、千葉くんは女の子からチョコを渡されていて。


それは、手作りのものから高級ブランドのチョコレートまで様々だ。


心優しい千葉くんは、渡される全てのチョコを受け取っていて。

彼の両手は、いつの間にかチョコでいっぱいになっていた。


千葉くんは本当にモテるんだなと、改めて思い知らされる。


「ねぇ、美桜。早く行かないと、千葉くん行っちゃうよ?」

「でも……あんなに沢山チョコをもらってるのに。私のまで渡して迷惑じゃないかな?」


なんだか急に渡すのが怖くなってきた。


「バカ! 美桜、なに弱気になってるの? この間の自転車のときのお礼なんでしょう? きっと大丈夫だから、頑張って」

「香菜、ありがとう。行ってくる」


香菜はいつも、私の背中を押してくれるね。


私は、下駄箱から離れようとしている千葉くんのもとへと急いで向かう。


「待って、千葉くん……!」