香菜に聞かれて、私は素直に頷く。


私は今も、千葉くんのことが変わらず好きだ。


「だったら、せめてちゃんとチョコだけでも渡さないと。バレンタインは、年に一度だけなんだからね」


年に一度だけ……。そっか、そうだよね。


「うん、分かった。私、頑張ってみる!」


千葉くんは、3学期の始業式の日に学校に遅刻しそうになっていた私に声をかけて、自転車の後ろに乗せてくれた。


そして、いちごのキャンディまでくれた。


だから、そのときのお礼としてチョコを渡すのなら別に良いよね? 


たぶん、迷惑にはならないはず。


「でも、いざ渡すとなると、どんなチョコにしようかな。沢山売ってると迷っちゃうよね」


この前ショッピングモールに行ったとき、色とりどりにラッピングされたチョコがたくさん売られていて。見ているだけで胸が弾んだ。


「まさか美桜、千葉くんに市販のものを渡すつもり!? 本命チョコなら、手作りの一択でしょう」

「えぇっ! てっ、手作り!?」


手作りだなんて、全く頭になかった。


だけど、千葉くんの彼女でもないのに手作りチョコを渡すだなんて……重くないかな?