「仲が良いって言ったって。今は千葉くんに、手を振ってもらっただけだよ?」

「でも、ただ見ているだけだった去年と比べたら、それってかなりの進歩じゃない? 友達効果、すごいね!」


香菜の言うとおり。3学期の始業式の日に、私が千葉くんに『友達になって』とお願いして。

彼と正真正銘の“友達”になって以来、千葉くんは学校で私を見かけると、今みたいに手を振ってくれたり。

私に、声をかけてくれるようになった。


去年までは考えられない、まるで夢みたいなことだ。


だから、あのとき勇気を出して良かったな。


「……それで? 美桜はどうするの?」

「えっ、どうするって何が?」


いきなり話題が変わって、私は首を傾ける。


「もう〜! 何がって、来月のバレンタインに決まってるじゃない」


バレンタイン……。


えっ、もうそんな時期だっけ?!