3学期の始業式から2週間が過ぎた、ある日の休み時間。


「うわ、それマジ!?」


廊下のほうから聞こえてきたよく響く声に反応し、私がそちらに目をやると。


千葉くんが、友達と笑い合いながら歩いているのが見えた。


千葉くん、楽しそうだなぁ。


今の私の席は廊下側の一番後ろのため、無意識に開いたドアのほうを見てしまう。


……あっ。


すると、ふいにこちらを向いた千葉くんと目が合ってしまった。


「橘!」


私に気づいた千葉くんが教室のドアの前で立ち止まり、私に向かって手を振ってくれた。


そんな彼に私も微笑みながら、ひらひらと手を振り返す。


こんなちょっとしたやり取りでも、私の胸はすぐに幸せな気持ちでいっぱいになる。


「ちょっとちょっと〜。おふたりさん、随分と仲が良いですねえ」


私たちのことを見ていた香菜が、ニヤニヤ顔で言ってくる。