千葉くんに言われるがまま、私が右手を差し出すと。

千葉くんは、私の手のひらに何かをのせた。


「これ、橘さんにあげる」


それは、いちごのキャンディだった。


「そのキャンディ、俺好きでよく買って持ってんの。俺、いちごには目がないんだよな」

「えっ。千葉くん、いちごが好きなの?」

「うん。実は……すっげえ好き」


少し照れくさそうに話す千葉くんに、胸がキュンと鳴る。


男の子でいちごが好きって、なんかちょっと可愛い……かも?


千葉くんの、意外な一面を知れちゃったな。


「千葉くん、キャンディありがとう。それじゃあ」


今度こそ校舎へと向かって、私が歩き始めたとき。


「あの、橘さん。この間は……ありがとう!」

「え?」


突如として、千葉くんが私に頭を下げた。