このときの香菜の言葉が頭から離れなかった私は、数日後ついにある決心をした。


「ねえ、香菜。私、千葉くんに告白してみるよ」


それはもちろん、千葉くんに告白すること。


私は小学生の頃、突然の交通事故により一度全ての記憶をなくしている。


そして今もなお、事故当時のことだけは思い出すことができていない。


だから……。


いつ、突然、何が起きるか分からないことを、私は身を持って知っているから。


後悔のないように、相手に伝えられる今のうちに、ちゃんとこの想いを伝えておきたいと思ったの。


「わ〜、ついに決心したんだ! えらいよ、美桜」


香菜が、私の背中をポンッと優しく押してくれた。


「頑張って!」

「うん。ありがとう」


香菜にも宣言したし。もう、後には引けない。