あれから、私の頭の中から千葉くんの存在が消えることはなかった。

学校に来ると、無意識のうちに私は千葉くんのことを探すようになっていたんだ。


登下校の際の昇降口で。

通学路で。

千葉くんのクラスの前を通るとき。


千葉くん、いるかな? って。


少しでも、千葉くんを見られたら嬉しいなって思いながら。


出会った頃から、千葉くんがサッカー部員だということは分かっていたから。

私はたまに放課後になると、グラウンドへとサッカー部の練習を見に行くようになった。


そこで知ったのは、千葉くんが女子からすごくモテるということ。


千葉くんはイケメンというだけでなく、1年生ながら次期エースと言われるくらいサッカーがとても上手だった。


「キャーッ! 春翔くーん」

「千葉くん、かっこいいーっ!」


沢山の彼のファンの女の子たちの中に紛れて、私も懸命にサッカーの応援をした。


キミに、私の声が聞こえているのかどうかは分からないけれど。


「千葉くん、頑張れ……!」


そう何度も何度も、声援を送った。


汗をかきながら、ボールを追いかける千葉くん。

シュートが決まると、嬉しそうにガッツポーズする千葉くん。


どんな千葉くんの姿も、私にはキラキラと輝いて見えた。


そして、いつもストイックに練習する千葉くんがすごくかっこよくて。


そんなキミのことを見るのが好きだった。


ただこうしてキミを見ていられるだけで良かった。