* * *


そうか。あのとき私は、春くんに会いに行こうとしてたんだ。


私は、小学生の時からすでに春くんと知り合いで。その頃からずっと、春くんのことが好きだった。


それなのに、どうして今まで忘れていたんだろう。


ごめん、春くん……


「……春くんっ!」


ずっと昔の夢を見ていた私が目を開けると、見慣れない真っ白な天井が視界に入った。


あれ、ここは……?


「美桜っ!!」


名前を呼ばれてそちらに目をやると、嗚咽を漏らして泣いているお母さんがいた。


「おかあ、さん?」

「良かったぁ、気がついて。あなた、また事故に遭いかけたのよ!?」

「そうだ、事故……痛っ!」


ベッドから起き上がろうとした途端、右足に痛みが走る。


私の右足には、包帯がグルグルと巻かれていた。