ドカッ!


どこからか勢いよく飛んできたサッカーボールが、坂本くんの頭に直撃した。


バタッ!!


それと同時に、地面に倒れ込む坂本くん。


『えっ、坂本!?』

『おい、気絶してるぞ……』


ピクリとも動かない坂本くんを見て、彼の取り巻きたちが焦りだす。


『あっ、ごめーん!』


そんななか、謝りながらこちらに駆けてきたひとりの男の子。


『悪い。ボールが頭に当たったみたいだ』

『えっ!?』


申し訳なさそうな顔をした男の子がやって来た途端、なぜだかサッと顔を青くさせる取り巻きたち。


『やばい、アイツだ……』

『にっ、逃げるぞ!』


気絶した坂本くんを二人で抱え、取り巻きたちは逃げるようにその場から立ち去る。


えっと。何だかよく分からないけど……とりあえず助かった?


走っていく彼らの背中を、私がポカンと見つめていると。


『……はい』


男の子が地面に落ちていたキーホルダーを拾って、私に渡してくれた。


『あっ、ありがとう』

『どういたしまして』


私がお礼を言うと、陽だまりみたいな笑顔を向けてくれる男の子。


『えっと……』


誰だろう、この男の子は。知らない顔の人だ。