千葉くんには、好きな人がいるのに。


好きになってしまって……ごめんね。


諦めが悪くて、本当にごめんね。


さすがに二度も振られちゃったからには、今日でキミへの片想いも終わりにするから。


「千葉くん……大好きだったよ」


泣きながらしばらく走っていると、ポツっと頭に雫が落ちてきた。


ふと空を見上げた瞬間、ザーッと打ちつけるような強い雨が降ってくる。


ただでさえ、涙でぼやけて前がよく見えないのに。


激しい雨のせいで、視界が余計に悪くなる。


さっきからとめどなく涙が流れるけど、それを拭う気分にもならない。


涙と雨で、私の顔はぐちゃぐちゃだ。


「っうう」


傷心した私は、周りを見る余裕なんてなくて。泣きながら、雨のなかをただ走るだけで精一杯。


ずっとうつむいたまま、信号もちゃんと見ていなかった私は、いま信号が赤だってことに気づかず……。


横断歩道を、勢いよく飛び出してしまった。