胸の底のほうに、もやもやとした感情が広がっていく。


「永倉くんは、普通に仲の良い友達で……」

「そうなの? 二人を見てたら良い感じだったから、俺てっきり……」

「わっ、私の好きな人は……他にいるから」


無意識に、声が震える。


「そっか。橘は、優しくて良い子だから。ちゃんと橘のことを大事にしてくれる、良いヤツと付き合って欲しいって思うよ」


千葉くん……。


胸に、針で刺されたような痛みが走る。


今年に入って、千葉くんと友達になって。


2年生で同じクラスになってからは、一緒に過ごす時間が増えて。


最近は千葉くんと、今までよりも距離が縮まってきているように感じていたけど。


私の想いは、全然千葉くんに届いていないんだなって痛感させられる。


どれだけ仲良くなったとしても私は……千葉くんに友達以上に見てもらえることはないんだなって思うと悲しくて。


胸が張り裂けそうなくらいに苦しい。


私は、千葉くんが好きなのに。


高校に入学してから今日までずっと、千葉くんのことだけを見てきたのに。


いつも笑顔で、優しく接してくれる千葉くんのことが、私はずっと……


「……好き」

「えっ?」

「私は、今でも千葉くんのことが……好きなの」