ついに迎えた体育祭当日。


今日は朝から、雲ひとつない青空が広がっている。


登校してきた私が、下駄箱のところでローファーから上履きに履き替えていると。


「ええっ。杏果、ついに千葉くんに告白するの!?」


後ろからそんな声が聞こえてきて、私がそちらに顔を向けると、杏果ちゃんが友達と話しているのが見えた。


「ちょっと! マキってば、声が大きいよ」


唇に人差し指を当てながら、シーッとする杏果ちゃん。


「うちの学校って、好きな人と体育祭でハチマキを交換すると、永遠に結ばれるっていうジンクスがあるでしょう?」


杏果ちゃんの言葉に、私はハッとする。


そうだ。この学校には、ハチマキのジンクスがあって。

それをやるために、体育祭前や当日にカップルが増えるって聞いたことがある。


「去年のクリスマスは、勇気が出なくて。結局、春翔くんに告白できなかったから。今日こそは、頑張って気持ち伝えるんだぁ」


遠くなっていく杏果ちゃんの声を聞きながら、私は拳をギュッと握りしめる。


そっか。杏果ちゃん、千葉くんに告白するんだ。