千葉くん……それ、本当に?


私と一緒にやりたいって、思ってくれてたの?


初めて知る事実に、顔がにやけてしまいそうになる。


その言葉だけで、このあとの練習もいつもより頑張れちゃいそうだよ。


「橘は、いつも最後までグラウンドにひとり残って練習してるし。“しんどい”とか、“辛い ”とか一度も言わずに、ほんとえらいよ」

「そっ、そうかな?」


褒められるのは照れくさくて、思わず頬をかいてしまう。


千葉くん、私がグラウンドに残って練習してるところ見ててくれたんだ。


「橘……1回そのバトン俺に渡してみて?」

「え?」

「バトンパス、二人で練習しよう」


千葉くんに言われた私は、本番と同じようにトラック半周の100mを走り、バトンを彼に渡した。


「はぁ……っ、千葉くん……!」

「おっ、今のパスいい感じだった。ちゃんと練習、身についてるじゃん」

「あっ、ありがとう」

「なぁ、橘。橘は、何も不安に思うことはないよ」


千葉くんが、私をじっと見つめてくる。