いま一度、勇気を出してみよう。


私の手は、いつの間にか手汗でぐっしょりだ。


ドキドキ、ドキドキ。


鼓動がだんだんと、早くなっていくのが分かる。


誰にも言われずに、ましてやこんなクラスの大勢のなかで、自分から行動するっていうのは初めてのことだから。


すごく緊張するけれど……。


スゥーッ。


私は、深呼吸すると。


「……はいっ!」


勇気を振り絞り、右手をあげた。


「あっ、橘さん……やってくれるの?」


一度手をあげたからには、もう引き返せない。


「はい、やります」


私は大きく頷いてみせる。


「助かるよ。あと男子2人と女子1人、誰かいないですかー?」

「……はい」


えっ!?


私のあと、手をあげたのは……。