「美桜と永倉、なかなか戻って来ないから、探しにきたの。もう! あたしを置いてかないでよね」


その声の主は、香菜だった。


「まさか、ここで二人で花火を見てたなんて。こっちは、千葉くんと西野さんの後ろで1人でぽつんと花火見てたのよ!? めっちゃ気まずかったんだから」

「まじ? それは悪かったな。篠崎もここ来いよ。花火そろそろフィナーレだろうし、3人で見ようぜ」


永倉くんが空いている自分の隣をポンッと叩き、そこへ膨れっ面の香菜が座る。


「香菜、連絡もせずにごめんね?」

「いいよ。美桜のことだから、きっと何かあったんだろうなって思ってた。……花火、きれいだね」


私、永倉くん、香菜と、3人で並んで花火を見上げる。


改めて、仲の良い友達と一緒に見る花火は、最高にきれいだ。


「花火終わったら、河川敷の近くまで戻るか。春翔、西野ちゃんとふたりきりだしな」


永倉くんの言葉に、私と香菜は頷く。



──楽しくて、時に切なくて。

笑って、泣いて。

友達の優しさにも、たくさん触れた。


いろんなことがあった今日の花火大会も、後にはきっと良い思い出になると信じて。


私は、夜空に輝く花火を目に焼き付けるのだった──。