「永倉くん、私と一緒だね」

「え?」

「千葉くんにも、好きな人がいるみたいだから」

「そっかあ」


私と永倉くんは、静かに夜空の花火を見つめる。


「俺、篠崎に好きなヤツがいるって知ってるのに。中学の頃から、全然諦められなくてさ」

「別に、香菜のこと諦めなくて良いと思うよ?」

「え?」

「私が千葉くんに告白して振られたとき、これまで通り千葉くんのことを好きでいて良いって、香菜が言ってくれたの」

「そっか。篠崎が……アイツらしいな」


永倉くんが、ふわりと微笑む。


「……私、永倉くんのこと応援するよ。だって、永倉くんは優しいから。幸せになって欲しい」


他に好きな人がいるという、香菜には申し訳ないけど。

自分と同じような境遇の永倉くんの恋を、素直に応援したいと思った。


「だったら、俺も。美桜ちゃんのこと、応援する」

「ありがとう」


私と永倉くんの間に、新たな絆のようなものが生まれたそのとき。


「あーっ! 二人ともこんなところにいたー!」


突然、花火にも負けないくらいの大きな声がしてびっくりする。