しょうがない。来てしまったからには買おう。

 最悪わたしが自分で食べればいっか……。


 ショーケースの中を眺めた。お目当てはアップルパイだけだったのに、他の商品も美味しそうすぎて目移りしちゃう。

 前に並んでいた人がイートインスペースに歩いていくのを見て、理性がガラガラと崩れていく。


 た、食べたい。

(ダメダメ、玉露くんの分だけ買って早く帰っちゃおう)


 ここで食べちゃえば、証拠も残らない、し。

(反省の気持ちを伝えたいんじゃないの!?)


 天使と悪魔が交戦する。


 好きなの食べちゃおうよ。

(ダメだよ!)


 食べちゃおう。

(だ……)



「アップルパイを持ち帰りで、抹茶のティラミスはここで食べていきますっ! 飲み物はカフェオレで!」