保健室まで移動し、ベッドに寝かせられた玉露くんは予想以上の高熱だった。
すぐに家に帰ることになったんだけど、玉露くんのお母さんは仕事中で迎えに来れそうにないことをわたしは知っていた。
それを告げると、熱が下がるのを待つか……という空気になりかけて、
「なら、俺が車を手配しよう。苹果、玉露の住所は?」
御鏡先輩が遮った。
やがて御鏡先輩の運転手さんや使用人さんがやってくると、丁寧に玉露くんを送り届けてくれたのだった。
嵐のように一瞬の出来事。
なんという手際の良さだろう。
「えと、あ……ありがとうございました」
もはや何が起こったのか処理しきれず、動揺しながら感謝を伝える。