いいや、これは緊急事態だ。仕方ない。

 玉露くんが変なんだもん!



「そうか。ついに俺と苹果のことを認めたんだな」

「ええっ……!?」



 どさくさに紛れて肩を寄せてきた。

 あの……あんまり近く寄られると、キスの感触思い出しちゃう……。


 顔が赤くなるのをごまかす。

 その間も玉露くんはぼんやりと、そして静かに、箸を動かしている。



「……あまりにも何もないな?」



 きょとんとする御鏡先輩の隣で……わたし、気付いちゃった。


 なにもないのは──お弁当の中身だ……。



「どうしよう! 玉露くんが空気食べてる!」



 すぐ玉露くんの後ろへ回り込み、肩を揺らす。



「熱っ……!?」



 布越しでも感じる熱。剥き出しの首に手を当てると、原因が判明した。

 完全に、発熱の症状だ……っ!