玉露くんが料理に失敗するとは珍しい。

 たまに晩ごはんの様子を覗くけど、調味料の量をミリ単位で量って入れるくらい緻密な料理をしてくれてるのに。

 今日は量るのがめんどくさかったのかなあ……。


 何も気にする気配なく食べる玉露くんに、驚きを通り越して尊敬の念を飛ばしながらお弁当の中身を減らしていく。

 と、いつものごとく彼がやって来た。



「苹果、今日も可愛いな」



 ……。決してときめいてなど、いない。

 玉露くんには相手にしてないと言った手前、返事は控える。

 もぐもぐもぐもぐ。食事中は私語厳禁だよ。



「ん? 玉露……」



 そしたら今度、御鏡先輩は玉露くんを見て首を傾げた。

 待って、玉露くんにまで絡むようになっちゃってるの?

 それは話が違う。