ていうか御鏡先輩だって……。



「苹果ちゃん」



 別にわたしが好きだから迫ってきてるんじゃなく、わたしがケーキだから……。



「苹果ちゃん、終わったよ」



 ぽんぽん、と肩を叩かれ我に返る。



「っあ、玉露くんっ……おかえりなさい」

「ただいま。難しい顔してたけど、そんなに悩む内容だったの?」

「えっ、あぁ」



 本のことだと思ってくれてるようだ。

 身の丈に合わない本を選んじゃったみたい、と笑いながら棚に押し込む。

 荷物を持って席を立った。



「……図書室、暑かった?」



 玉露くんより一歩先を進んだとき、彼の呟いた言葉に内心ドキッとする。

 平静を装いながら振り向いた。



「ん?」

「……ううん。ちょっとデリカシーなかったかも、なんでもない」

「そう?」



 まさか、汗臭かったとか……?

 だとしたら嗅覚鋭すぎない?