恐怖とか緊張とか、色々な意味でのドキドキだもん。

 こういうのが吊り橋効果っていうんだよ。もしかしたらときめきなのかなって考えちゃった時点で負けに決まってる。



「ほんとにっ……だめです、謝りに来ただけなのでっ」



 ぐぐ、と腕を外すため抵抗する。

 そしたら意外にも解放は早かった。



「ん。本気で嫌がるときは諦める。嫌われたら元も子もないしな」

「……ありがとうございます」



 ……引き際がちょうどいいから複雑だ。

 これじゃ御鏡先輩を嫌いになりきれなくて、今後の接し方が難しくなる。

 強く突き放しにくいって思っちゃうじゃん……。



「じゃ、その……さようなら」

「ああ。また会いに行く」

「~~っ、……はい」



 なんで、もう来ないで! って言えないんだわたしは……。