このまま密室にいるのは危険だ。そう判断し、車の外に出ようと御鏡先輩に背中を向けた。
「うひゃあ!?」
後ろから伸びてきた腕に抱き寄せられる。わたしの体は御鏡先輩の胸にすっぽり収まってしまう。
ドッ、ドッ、ドッ……。
鼓動が強く脈打つ。
「俺を本気にさせて、逃げられると思ってるんだな」
いつの間にか、運転席にいたはずの人はいなかった。車の外で使用人さんと喋ってる。
とても人を頼れる状況じゃない。
玉露くんが図書室へ戻ってくるまでに帰らないといけないのにっ……。
「みかがみ、せんぱ……離して、」
これ以上はもう、ドキドキしすぎてわけわかんなくなっちゃう……。
「俺のこと、好きになれそう?」
「わかるわけない、っです、よ……」