まずは階段を下りて三年の廊下を探索。
存在感のある人だからすぐに見つかるだろうと高をくくっていたら、不発だった。
もう帰ってしまったんだろうか。
あれから御鏡先輩が無理に迫ってくることはない。
彼の言っていた通り、フォークとしての本能に打ち勝てなかっただけなのかな……とか、ふとしたときに考えてしまう。
娯楽としての食事。好きなお菓子とか、スイーツとかがわたしにとってのそれだ。
もう御鏡先輩は、一生それを楽しむことができない体になっちゃったんだ。
つまりわたしは──先輩が信じたくないであろう現実をまざまざと突きつけてしまったことになる。
酷い。酷すぎる。
謝りたい。
それから……、少しだけなら。
三年の廊下を通りすぎようとしたとき、窓の外に人影が見えた。
あれは……!