“フォーク”っていうのは、後天的に味覚を失った人のことだ。

 何を食べても味がしないけど、先天的に存在する“ケーキ”と呼ばれる特定の人間だけは味を感じるらしい。

 肉も皮も体液も、どこを食べても甘美な、フォークだけのスイーツ。


 連想されるのは当然、人間界でタブーとされていることで。

 実際にフォークがケーキを襲う事件が世の中に起こっている時点で、間違いなく失言だった。


 リンゴも玉露も、美味しいって感じる人がいてくれるもの。

 味わえるものがたくさんあることを不幸に思ってはいけない。
 


「……二度と言わない。ピーマンも食べる」

「うん。それがいいね」



 ……それでも苦いのは変わらないんだよね。