当然これがまともな告白で、わたしに好意を寄せてくれている相手だったらの話だけど。
人並みには恋愛、とかキス、とかそういうことへの好奇心はあるよ。
「む、むり、ですっ」
「俺としたくない?」
「ひえ、」
かっこいい顔が迫ってくる。
この人、自分の武器が何か熟知してるよ。
第一印象さえ違ってればっ……!
って、何悔しがってるの! 固い意思で断らなきゃ!
「そっ……そんな簡単にしていいものじゃないですよっ!」
そっちは初めてじゃないのかもだけど、わたしは初めてだもん。大事にしたいよっ。
先輩を突き飛ばしたとき、予鈴が鳴った。
今だ!
「いつ食べられてもおかしくない相手に、そうあっさり自分はあげられないですっ……!」
捨て台詞を吐いて二度目の逃走を実行。
謝罪された側のはずなのに、どうしてか負けた気になった。