「はい、ココアにした。寒かったでしょ」



 カップから立ち上がる湯気。あまーい香りがほっとする。

 コクリと一口飲んだだけでも、お腹の辺りがじんわりぬくもった。



「で、なんだっけ。隣にケーキを食べ残してる人がいて?」



 玉露くんは隣に座る。その際、さりげなく膝にブランケットをかけてくれる用意周到ぶり。

 はらはら、心がざわめいて落ち着かない。

 確かに玉露くんは普段から優しいんだけど、ここまでだったっけ。自分でできることは自分でやってね、みたいな冷めたところもあったよね。


 ……いやいや、一旦冷静になろうよ。

 しっかり話を聞く空間を作ってくれただけかもしれないし。

 まだ決まったわけじゃない。大丈夫、大丈夫。