アップルパイの入った紙袋を玉露くんの胸に押し付ける。

 強く握りすぎてグシャグシャだけど、どうしても受け取ってほしい。



「ありがとう……、ただこれは玉露くんに食べてほしいんだ。嫌われてないのは嬉しいけど、好かれたいから」

「もう充分好きだよ」


「も、もっとだよ。もっともっと、絶対嫌われることはないよねって自信が持てるくらいになりたいの」

「……ふうん」



 玉露くんは初めての友達で、一番の友達だもん。

 絶対失いたくないんだよ。



「ま、心配することないだろうけど、苹果ちゃんがそうならもらうね」



 紙袋を受け止めた玉露くんは、お茶を淹れるためにキッチンへ歩いていった。

 ……笑顔だったけど、ちょっとひきつってなかった?

 気まずいから離れていったんじゃないかって気がしてきた。


 え、まさか──終焉へのカウントダウン、始まってる……?