「お茶淹れるよ。アップルパイは苹果ちゃんが食べて」

「へ、なんでっ? 玉露くんにあげたくて買ってきたのに……」



 離れようとする玉露くんの袖を掴む。



「嫌われないために買ったんだよね? じゃあ大丈夫。嫌いじゃないし、ならないから」

「で、でもわたし、迷惑ばっかりかけて」

「いいよ。……何かあったとき、一番に僕のところへ帰ってくるってわかったし」



 玉露くんはわたしの目元に親指を添え、そっと拭った。

 いつもこんな調子だから、優しくしてもらえるのが当たり前みたいに感じてたかもしれない。

 わたしの幼なじみ……相当心が広いよね。


 ……どうしよう。見捨てられるのがますます恐ろしくなっちゃったよ。