崩れを見せない余裕に飲み込まれそうだ。



「予定があったか?」

「ないです、けど……」


「けど?」

「……ないです。暇です」



 あれよあれよと、クリスマスに那由多の家へ行くことが決まった。


 ……いいよね。

 わたしはわたしで、楽しむ努力をしなくちゃ。



「そうだ。これは別の話だが、苹果は剣に料理を教わったらどうだ?」

「へっ?」

「料理に関して、優秀なコーチがほしいと言っていただろ」



 言った。いつだったか、お昼を食べているときにぼやいた記憶がある。

 下手な玉子焼きを那由多先輩に見られたとき、早く上手くなりたいな~みたいな意味で話したよね。

 教えてもらえるならありがたい、けど……。