去年まではわたしと一緒に過ごしてた。ケーキを食べて、プレゼント交換をして、二人だけで。

 ずっとそれが続いていくと思ってたけど、玉露くんにそのつもりがないことがわかった。


 ……帰ろう。


 階段前で那由多先輩と待ち合わせしている。

 廊下へ足を向け、とぼとぼ歩き出す。



「~~っ、あーもうわかったよ、白状する! 女の子から頼まれてんの! 瀬戸と遊びたいんだと!」



 え……。

 ドキリと心臓が鳴った。


 歩みを緩めるのはさすがに不自然だ。その話を最後まで聞くことはなく、那由多先輩の元へ向かった。



「苹果、帰るか。……苹果?」

「あっ……は、はい。お待たせしました」



 玉露くん、どう言ったのかな。

 あの文脈は、玉露くんに好意を持った女の子がいるっていう示唆で間違いないだろう。