期末テストが終わり、十二月が少し過ぎた。

 皆、数日後に待つ冬休みへの期待を高めている。



「瀬戸って、クリスマス空いてんの?」



 帰り支度をしてる際、偶然にもその会話が耳に入った。



「僕?」

「いや、だってさー、ほら……どうせ一人だろ?」



 声を潜めたつもりなんだろうけど、ばっちり届いている。


 どうやらわたしと玉露くんは、破局したカップルという扱いをされているらしい。

 違うと否定する玉露くんの姿を何度か見ているものの、それに反してクラスの空気感は完全に気を使った状態だ。



「女の子誘って一緒に遊ばね? 失恋の傷を新たな恋で癒そうぜっ!」

「失恋じゃないって。遊ぶのはいいけど、女の子は別にいなくていいよ」



 玉露くんの返事が聞こえてきたとき、わたしは無意識に唇を噛んでいた。