わたしの三つ隣にある玉露くんの家。

 自分の家より足はそっちへ向いていた。



「はあっ、はあ、ぎょくろくんっ……」



 インターホンを押す。



「はやくでてっ……お願い」



 カチ、ピンポーン、カチ、ピンポーン、カチ、カチ、カチカチカチ、ピンポーン。

 インターホンを押す。何度も何度も。


 迷惑なんて考える余裕はない。

 一秒でもすぐに安全を。安寧を。安心を。



「なに苹果ちゃん、何回も押されたらびっくりする……、え」



 インターホンの応答より先に玄関扉から玉露くんが現れる。

 カメラで確認できる位置にいたから来てくれたのだろう。

 玉露くんは様子のおかしなわたしに目を見開き、こちらへ歩み寄ってきた。



「どうしたの、なんか急いで、」

「玉露くんっ……」

「!」



 不安が爆発した末、玉露くんの胸に飛び込んだ。