「………………えっと」

「寒いだろ、もっと背中を預けていいぞ」



 寒いところに連れてきたのは先輩だよね。


 お昼休み、那由多先輩に連行された場所は屋上だ。

 普段開放されていないところだけど、なぜか先輩が持っていた鍵で開いた。


 なんで冬の屋外でご飯を食べるんだろうと思っていたら、目的はくっつくためだったらしい。

 デートのときのように、わたしを後ろから閉じ込めている。



「指先まで冷たいな。箸持てるか? 俺が食べさせてやろうか」

「お、屋内で食べれば済む話なんですけど……」

「嫌だ。二人きりになれないだろ」



 そ、それだけで?



「んー? なんで熱くなってきてるんだろうな?」

「……っ、」



 くすくす笑う吐息が耳に当たり、さらに体温が上昇する。