「もう名前で呼び合う仲になったんだ」

「え、と……そう呼んでほしいって、言われちゃって」

「ふうん」



 そう。

 こうなると思ったから、言わなかったの。



「で、『那由多先輩』がどうしたの?」



 不機嫌だ。これ、絶対。

 あからさまに言い方が刺々しい。


 どういうこと? 名前で呼んだくらいで反応するなら、なんでデートは許してくれたの?

 玉露くん、難しいよ。ラインがわかんないよ。


 ……しかしおかしなことに、わたしの中の理想があながち間違いでもなかったと安心できる材料でもあった。

 怒らせてほっとするとか、かなり変なんだけど。

 無関心になったときが、本当の終わりなんだよ。