「私も毎回顔を合わせるたびに嫌だったのよ。どうせ、お互い嫌な思いをするだけなんだから」

「そうだけど、僕は……」


「わかるわ、友達なのは変わらないものね。縁を切る必要なんてないわ、無理に気を張る必要がなくなっただけよ」

「……確かにね」


「喜びなさいよ。──これで、辛い思いしながら苹果ちゃんのそばにいなくて済むじゃない」



 ドクッ──心臓が跳ねた。



 な、に……? 辛い思い? 誰が?

 ……玉露くん、が?


 こっちからだと背中を向けた玉露くんの表情は見えない。

 だからこそ、余計に嫌な妄想が膨らんでしまう。


 彼の安心は、わたしがそばにいないことで……。

 無理して一緒にいてくれてて、わたしのお世話なんかしたくなくて。

 心を開いてもらえてなかったから、悩みも吐き出してもらえないような。


 そんな、浅い関係でしかなかった?