褒めるための冗談かと思って雑に受け流す。しかし、那由多先輩は候補の三着をカゴに入れてレジへ歩いていってしまった。

 ……んっ? あれ買おうとしてない?



「待ったぁ! 待ってください!? 何してる!?」



 とっさに追いかけて通せんぼ。那由多先輩の前で腕を広げ、通行を遮る。



「苹果へ誕生日プレゼント」

「誕生日は二月です!」

「お、いい情報を聞いた」



 どういう鎌のかけ方!?

 なんで今誕生日引き出されたの……!?


 バッとカゴを奪い、自分の背中に隠す。

 機能性よりデザイン性重視で選んだからか、思ったより重くてよろめいた。



「一着だけ! 自分で買うために! 選びたいので……そういうの、やめましょう」



 元々お礼のデートとして過ごしてるんだから、またもらっちゃいけないでしょ。