「苹果、鏡を見ろ」



 パニックに陥ってるわたしを那由多先輩が鏡の前に移動させる。

 後ろから、ブラウスを当ててきた。ボタンの代わりにリボンが付いてるようなデザインで、可愛い。



「うん、いいな。……可愛い」

「っ、ひゃ……ぅ」



 耳元で囁くから変な声が出た。ずっと出てた気もするけど。

 店に入ってから那由多先輩の雰囲気が変わってる! 絶対そうだ!



「那由多先輩っ……? わたし達、デートはしてますけど恋人ではないですからね……!」



 勘違いしてませんか!?



「それがどうした? 俺はしたいからスキンシップしてるだけだ」



 太い腕がお腹に回って、わたしを抱き寄せた。

 那由多先輩の上着に隠れてしまうくらい、すっぽりと閉じ込められている。