「キャー、カッコいい」

「私、知ってる! 前、飛行機に乗った時に機内のパンフレットに載ってたイケメンパイロットだよ」

 近くの女性たちから聞こえてきた話に、もしかして……という思いがよぎる。

 でき始めた人だかりへ向かい、みんなの視線の先を辿っていく。すると少し先から大翔と四十代くらいの男性パイロットが並んでこちらにやって来た。

 大翔だ……! すごい、会えた。

 会えたというより見えたのほうが正しいが、パイロットの制服を着て働く姿を初めて見ることができて嬉しさが込み上がっていく。

 声をかけたいところだけれど、迷惑だよね。それに気づかれても困るかも。だってなんかこっそり空港に大翔に会いにきたなんて知られたら、またたっぷりとからかわれてしまいそう。

 バレないように人の影に隠れて、彼が通り過ぎていく姿を目で追っていると、後ろか「上杉さん!」と大翔を呼ぶ声が響いた。

 すぐに大翔は足を止めて振り返る。少しして彼らのもとへ駆け寄ってきたのはひとりのCAだった。

 笑顔で大翔の隣に並んだ女性はとても綺麗な人だった。あれ? あの人ってたしか……。

 目を凝らしてみると、やっぱり数日前に店に来た女性だ。じゃあもしかして彼女が言っていた好きな人って大翔のこと?