どこかで読んだ小説の内容を思い出し、大翔が出てくるのを待つ。

 しかし、いつまで経っても姿が見えない。もしかしてパイロットとCAはここを通らない? だったら待っていても無意味だ。

 運良く会えればいい程度だったのに、実際に空港に来たら無条件に大翔に会える気がしていたからがっかりしてしまう。

 家族へのお土産をたくさん買い過ぎて、荷物を持つ手もそろそろ痛くなってきた。あまり遅くなると混雑時間に巻き込まれるし、帰ったほうがいいかもしれない。

 そう思い、帰ろうとした時、数人のCAがロビーにやって来た。スーツケースを引きながら颯爽と歩く姿は同性から見てもカッコいい。

 みんなスラッとした体型で、背筋もピンと伸びていて歩く姿勢さえも美しかった。

 大翔は毎日あんなに美人たちと一緒に仕事をしているんだよね? 本当に彼なら引く手あまただろうに、なぜ私なのだろう。

 他人と比べたってどうしようもないとわかっているけれど、どうしても自分の姿と綺麗なCAたちを比べて悲しくなる。

 気持ちが沈む中、小さな歓声が上がった。その声のほうへ視線を向けると、ふたりのパイロットが出てきた。