フェンスの先には多くの飛行機が離着陸をしていて、目を見張る。外だから離陸時の大きなエンジン音も聞こえて息を呑んだ。

「すごい……」

 次にすぐ近くを大きな飛行機がゆっくりと走っていき、一度停止した。そして大きなエンジン音を轟かせて一気に加速していく。

 スピードを上げながらゆっくりと地上から機体が離れた瞬間、なぜか感動して目頭が熱くなった。

 そのまま飛行機は広い大空へと飛び立っていき、すぐに小さくなって見えなくなる。その頃には私の頬には涙が伝っていた。

「え? 嘘、どうして泣いちゃってるの?」

 まさか飛行機が飛び立つ瞬間を見て感動して泣くとは夢にも思わなかった。なにより実際にこんな近くで見ても恐怖心がない。

 むしろ大きな飛行機のフォルムがカッコよく見えてきた。その現実が次第に可笑しく思えて笑ってしまう。

「あんなに怖がっていたのが嘘みたい」

 昔は飛行機を見ることさえできなかったのに。……私、ちゃんと前に進めているんだ。

 飛行機の着陸の瞬間も迫力があって、寒さも忘れて視線が釘付けになる。