それなのに大翔は着物のことを学んでくれて、一緒に着ようと言ってくれるなんて……。

【約束だからね?】と送れば、【俺に似合う着物を選んでおいてくれ】と返ってきた。

「楽しみだな」

 おやすみと送ったスマホを両手で握りしめ、彼と着物デートする日を想像すると頬が緩む。大翔にはどんな着物が似合うだろう。考えるだけで楽しくてたまらない。

 その一方で、彼が私の仕事に興味を持って勉強してくれたように、私も同じことをしたいという思いが芽生える。

 本気で飛行機への苦手意識を克服しよう。いつか大翔が操縦する飛行機に乗って世界中を旅してみたい。

 そんな夢を抱きながら眠りに就いた。


 大翔から明日、帰国すると連絡があったのはフライトに出てから三日後の夜だった。

「明日? ちょうどいいじゃない」

 たまたま明日は私が休みで、一日予定がない。この機会に空港へ行って、少しでも大翔がどんな仕事をしているのかを知りたい。それにもしかしたら仕事を終えた大翔に会えるかも。

 あれほど行こうと思えなかった空港に行くのが楽しみでたまらなくなってしまった。