それこそ兄にはできない相談にも乗ってくれたりして、心強い存在になっていた。祖母から結婚を急かされた時も、「きっと桜花ちゃんに見合う人がすぐに現れますよ。その時まで一緒に待ちましょう」と味方になってくれた。

 そんな雪乃さんが今回は私の話も聞かず、大翔とお似合いと言うなんて……。

 ショックを受けていたら随分と長湯してしまったようで、急いでお風呂から上がった。

 着替え終え、湯冷ましに縁側のドアを開けてゆっくりと腰を下ろした。

「風が気持ちいい」

 麦茶を飲みながら涼んでいると、背後から兄の「風邪を引くぞ」という声が聞こえた。

「お風呂から上がったばかりで熱いんだもん」

「そうやって調子に乗っていたら、本当に風邪を引くぞ?」

 心配性の兄はドアを閉めてしまった。そしてなぜかそのまま私の隣に腰を下ろす。

「なに?」

 気になって聞けば、兄は私の様子を窺いながら口を開いた。

「今日さ、大翔に会ってどうだった?」

「どう、って聞かれても……」

 なぜか兄は探るような目を向けてくるものだから返答に困る。それを察したのか兄は慌てて続けた。

「ほら、なんかあるだろ? カッコよかったなとか、話していて楽しかったとか、その……どこかで会ったことがあるかもって思ったとか」

 最後の質問が引っかかるものの、率直な感想を伝えた。